禁煙外来について
ニコチン依存症とは?
タバコを吸うと、煙に含まれるニコチンがすぐに脳に達します。脳には、ニコチン受容体という器官があり、ここにニコチンが結合すると、快感を生む物質(ドパミン)が放出されます。
逆にタバコを吸わないでいると、イライラなどのニコチン切れの症状があらわれ、再びタバコを吸いたくなります。
このようにタバコがやめられなくなった状態をニコチン依存症といいます。
健康保険で治療できます
最近では、テレビコマーシャルでも流れているように一定の条件を満たせば、健康保険で禁煙治療が受けられるようになりました。
禁煙治療が終了するまでにかかる費用は、3割負担の方でおよそ2万円です。タバコを1日1箱吸っていると計算すると、たった1か月半分です。
また新しいくすりは治療成績も今までより上がっています。
自分にもあてはまるのでは?
「タバコが体に悪いのはわかっている」「いつかはやめたい」と考えている人はたくさんいると思われます。または「自分はいつでもやめられる」と過信している人もいるでしょう。
しかし、そんなに甘くないのが、ニコチン依存症です。自己流の禁煙方法で何度も失敗している人も多く見られます。
「タバコをやめると太ってしまう」「禁煙中イライラしそう」「やめると宣言したあと、失敗したらかっこがつかない」などの理由から、なかなか禁煙に踏み出せないのでしょう。
今までは、有効な治療薬がなかったこともひとつの要因です。このような方は新しいくすりで禁煙治療をしましょう。
禁煙治療チェック項目
どなたでも、健康保険の適応になるわけではありません。以下の要件がすべて満たされた場合(ニコチン依存症患者です!)に適応となります。
- 直ちに禁煙しようと考えていること
- ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上であること
- 禁煙治療を受けることを文書により同意していること
- ニコチン依存症のスクリーニングテストが5点以上であること(下に表で「はい」が5つ以上あるかた。)
ニコチン依存症のスクリーニングテスト
質問 | はい | いいえ | |
---|---|---|---|
Q1 | 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか? | ||
Q2 | 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか? | ||
Q3 | 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか? | ||
Q4 | 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか?(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加) | ||
Q5 | でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか? | ||
Q6 | 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか? | ||
Q7 | タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか? | ||
Q8 | タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか? | ||
Q9 | 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか? | ||
Q10 | タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度ありましたか? |
上記の①②③を見たし、チェック項目のうち、5つ以上あてはまれば、健康保険の適応です。
禁煙治療の流れ
保険診療で禁煙治療をお受けになる場合、12週間で計5回の診察が必要になります。 毎回の診察で、禁煙補助薬の処方のほか、息に含まれる一酸化炭素の濃度を測定します。 また禁煙状況に応じて医師のアドバイスを受けます。
禁煙補助薬チャンピックスとは?
チャンピックス(一般名バレニクリン)は、ニコチン依存症の形成に寄与している脳内のα4β2ニコチン受容体に対して高い結合親和性をもっています。タバコの煙に含まれるニコチンが脳内のα4β2ニコチン受容体に結合すると、ドパミンが放出され、快感が生じます。 チャンピックスは、この受容体に結合してドパミンの放出を少量におさえます。その結果、禁煙に伴う離脱症状やタバコを吸い
たいという気持ちを軽減します。同時に、ニコチンがこの受容体に結合するのを阻害し、喫煙により得られる満足感を抑制します。