今回は大腸内視鏡検査時のポリープ切除に関するお話しです。
最近、「留置スネア」を使用する症例が続いたので、この治療法をご紹介いたします。特に新しい治療法ではありませんが、いろいろなクリニックのホームページを見ても、あまり記載されていませんので、ここで紹介させていただきます。


まずはこれが留置スネアです。

そもそも留置スネアとは何か?という前にポリープ切除について少しご説明いたします。
大腸カメラで大きめのポリープを切除した場合、術後出血の可能性が高まります。そこで出血予防に内視鏡用のクリップを使用します。このクリップとは粘膜を寄せて傷口を塞ぐ道具と考えてください。

こちらの画像がクリップです。

例えば、下のようなポリープがあります。

こういうポリープは切除後、切り口にクリップをつけて止血します。
こんな感じです。

もう1例

こんなポリープですと…

焼き切ると大きな欠損ができてしまいます。

そこでクリップをいくつも使い、端から縫合していきます。

しかし、下のような茎をもったポリープになると、その中に太い血管が通っています。

例えばこんなポリープです。

こういうポリープでは、切除した際に切り口から大出血するリスクがあります。そのため、血液の流れを遮断してから切除した方が安全です。しかし、クリップでは長さが足りず、確実に血流を遮断するのが困難です。かといって、切除してからクリップするのは、大変です。

頑張ってクリップで血流遮断をすると、下のような状態になってしまいます。
何ともいびつです…。この後、切除するわけですが、切除後もクリップが不安定です。便が流れてきたら引きちぎれそうです…。そのため、さらにクリップを追加することもあります。


血液の供給が無くなり、酸欠状態のポリープです。色が黒ずんでいます。

やっと本題に戻りますが、ここで登場するのが、留置スネアです!
イメージ画像を製品のパンフレットから抜き出しました。
下のような感じです。

ビニール製の輪になっています。これを茎のあるポリープにひっかけて根本で縛ってしまいます。適応は前述のとおり茎をもった大きなポリープになります。一発で血流遮断ができ、安心してポリープを切除することができます。

先日の当院での症例をご覧いただきます。
このような茎の長いポリープになります。
赤い色をした腫瘍の部分は約3センチ大ありました。

次に留置スネアをかけた状態です。
矢印の部位で締め付けられています。

時間が経つにつれ、だんだん色が悪くなってきます。
血管をうまく遮断できている証拠です。

私は心配性なので、念のために留置スネアが逸脱しないようにクリップを手前にかけます。
こんな感じです。

その後、クリップより先で切除いたします。
矢印が切除した断端になります。白い血管が露出しています。腸管内には切除されたポリープが落っこちています。

あとはポリープを回収して終了です。
出血のリスクもほとんどありません。これなら枕を高くして眠れます。

ただし、輪は締めることはできますが、緩めることはできません。一発勝負ですので、締めこむ瞬間は緊張します。いい位置で締められないと、逆にそのあと大変になってしまうこともあります。

いかがだったでしょうか?

留置スネアを使用しない医師もおりますが、私は適応があれば積極的に使っております。慣れが必要ですし、介助者との息が合わないとうまくいきませんが、いい治療法だと思っています。
ちなみにクリップもスネアもしばらくすると、お尻から便と一緒に排泄されます。

ということで、今回は大腸カメラで使用する留置スネアのご紹介でした。

おしまい