2017.01.23
お相撲さんと肛門科
先日の大相撲初場所で、大関・稀勢の里が悲願の初優勝を遂げました。
その結果、19年ぶりの日本人横綱誕生が決定的となり、大いに沸いています。しかし、一方で相撲ファンの間から、今回の横綱昇進に懐疑的な意見も出ており、賛否両論のようです。春場所で結果を残して、そのような雑音を掻き消してもらいたいところです。
さて、お相撲さんといえど、人間ですので病気にもなります。もちろんおしりの病気になれば、肛門科にやってきます。しかし、お相撲さんが受診するとかなり厄介です。
今回はそんな話です。
まず最初に厄介な点として、みんな巨漢すぎる。稀勢の里のプロフィールを見ると、187㎝、175㎏と記載されています。
「175㎏です!」
当院の診察台はというと、昇降式になります。これは肛門科で流通している一般的な診察台です。横になって姿勢を作っていただいたら、台を上げていきます。でも取扱い説明書には130㎏まで…。つまり稀勢の里には対応していません。というか、お相撲さん非対応です…。外国人力士なんて来たらアウトです。そのため、診察開始から危ういのです。
実際には、ある関取が当院を受診されたとき、診察前に体重を聞いてみました。
「たったの160㎏です。普通です。」
だってさ…。
「普通のわけないだろ!」
っと思いつつ、お相撲さん的なボケを受け流し、30キロオーバーの巨体で試してみました。すると診察台が上がってくれました。いつもより動作が緩慢でしたが…。少し余裕をもった設定に感謝です。
お相撲さんのもうひとつの問題点は、
「おしりが肉厚すぎることです。」
肛門診察をしようにも、指が奥までとどきません。肛門鏡にてなんとか診察はできますが、やはりギリギリです。見落としがないか心配になります。これが手術となったらなおさらです。体位を取るところから麻酔、手術まですべてが大変です。また術後もおしりの傷のチェックをするのに一苦労です。
最後に厄介な点として、
「臭いがキツイ!」
びんつけ油の臭いが診察室中に充満します。診察後は消臭スプレーをして、しばらく時間をおかないと、次の患者さんをいれられません。
と、いうわけでお相撲さんが患者だと大変だ!という話でした。
おしまい