2017.04.03
学会参加と肛門科専門医について
先日、久しぶりに学会に出席いたしました。
なかなかクリニックを休診にできないため、平日の学会に参加できない状態が続いています。今回はありがたいことに土日での開催に加え、新宿の京王プラザホテルが会場だったこともあり、日曜日を利用して参加してまいりました。
今回参加した会は第一回臨床肛門病学会学術集会になります。第一回ですが、昨年までの臨床肛門病研究会から格上げとなったもので毎年開催されています。
学会には毎回テーマがあり、今回は「患者に優しい肛門科診療とその専門性を訴える」でした。「患者への優しさ」の面では、各施設で行われている、いろいろな工夫や配慮が発表されていました。肛門診察の恥ずかしさへの対処法や手術の説明方法、術後のケアについての説明方法など、勉強になりました。
一方、もう一つの「専門性を訴える」に関しては、「訴える」とすごむだけあって肛門科領域では熱いテーマです。というのは、今度新たに発足する新専門医制度において、肛門科専門医がないからです!(ちなみに新専門医制度とは、新たに発足した日本専門医機構という第三者機関によって、すべての専門医資格が取り仕切られるのです。内容は内科や外科などの基本領域専門医を取得した上で、さらにサズスペシャリティー専門医を取得するシステムです。このサブスペシャリティーに含まれるべき肛門専門医が外されてしまったのです。)
たしかにどの学会にも専門医制度が設けられています。名ばかりの専門医資格も多く、名称だけではちゃんとした資格なのか、一般の方には判別不能です。そういった混乱を招いてしまったことが専門医制度の見直しにつながったのです。ある意味、自業自得です。肛門科はそのあおりを受けた形です。きちんとした専門医資格です。
どうでもいい話かもしれませんが、肛門を専門にしている先生たちにとっては大問題なのです。外科や消化器外科専門医といっても、肛門がちゃんと診察できる先生などほとんどいません。患者さんにとってもどこの病院が肛門を専門に診てくれるのか、わからなくなってしまい不利益なのです!肛門科のような専門性の高い分野ほど、専門医が必要という意見に私も同感です。
というわけで肛門系の学会では、いかにして専門医資格を残すかが大きな課題になっているのです。私の肛門専門医の資格も、将来、剥奪される(消滅する)日がくるかもしれません。
こちらは目黒川の桜です。今年も亀の甲橋から撮影しました。7,8分咲きといったところでしょうか?
おしまい