ピロリ菌ってなに?

ピロリ菌

ピロリ菌(Helicobacter pylori)とは、胃の粘膜に感染し、胃炎や胃十二指腸潰瘍のみならず、胃がんや特発性血小板減少性紫斑病などさまざまな病気を発症させる菌です。
感染経路としては、経口感染(感染している親からの離乳食の口移しなどが原因。)や井戸水によるものがほとんどで、多くは5歳くらいまでの幼少期に感染しています。
そのため衛生環境が整備される以前に幼少期を過ごされた年齢の方、およそ40歳以上の方では、約7割の方が感染しているといわれています。

ピロリ菌感染率

どうしてピロリ菌の除菌が必要なの?

ピロリ菌が胃の粘膜に感染を起こすと、慢性活動性胃炎という持続的な炎症を引き起こします。
胃粘膜は徐々に萎縮(胃が弱り薄くなっていく状態)してきます。その結果、胃粘液や胃酸の分泌が低下し、胃の不快感や消化不良といった症状があらわれます。胃の萎縮とは、俗に「胃の老化現象」などといわれます。
ピロリ菌に感染していない健常者に比べ、ピロリ菌陽性でかつ萎縮性胃炎が進んだ患者では、10倍胃がんの発生リスクが高くなります。そのため、ピロリ菌の除菌が必要なのです。

ピロリ菌は保険で調べられるの?

ドックやピロリ菌外来など、ピロリ菌の感染診断、除菌治療は今まで自費診療で行われている場合がほとんどでした。それは、ピロリ菌に対する保険適応が限られていたためです。
2013年2月から保険適応が拡大されました。その結果、多くの患者さまが保険診療でピロリ菌の診断治療を受けられるようになりました

これまでと違い、胃十二指腸潰瘍などが無くても、胃内視鏡検査によってピロリ菌が原因と思われる慢性胃炎と診断された場合、感染診断~除菌治療(1次・2次除菌)まで保険診療の範囲で行うことができるようになりました。(胃内視鏡検査を行わずに、ピロリ菌の診断や除菌を行う際は自費診療となります。)

ピロリ菌がいなければ大丈夫?

ドックなどで採血や便検査によってピロリ菌陰性と診断される場合があります。
しかし、中にはピロリ菌が住めないほど胃粘膜の萎縮が進みすぎていて陰性となることもあります。この場合、むしろ胃がんの発生において高リスクになります。
また胃がんはピロリ菌だけが原因ではありません。喫煙や塩分の過剰摂取、食生活まで影響してきます。くわえて、ピロリ菌を除菌しても、その時点までの胃粘膜の萎縮は残りますので、そこから胃がんが発生することもあります。除菌が済んでも、1年に1回の胃内視鏡検査は必要です。
*がんの罹患者数では胃がんは全体の第1位、死亡者数では第2位の疾患です。男女別死亡者数では男性で第2位、女性で第3位です。

胃粘膜1 胃粘膜2
ここまで萎縮が進むと
もうピロリ菌はいません。
胃粘膜3
委縮は胃の奥から手前に
向かって進んでいきます。

部位別がん死亡率

ピロリ菌除菌の流れ

除菌は1週間おくすりを内服するだけです。
3種類のおくすりを1日2回朝晩内服していただきます。まず行う1次除菌によって約70%の患者さまが除菌に成功します。残念ながら1次除菌が不成功に終わった患者さまは2次除菌を行っていただきます。おくすりの内容が変わりますが、内服方法は同様です。
2次除菌まで行うことにより、さらに90%の患者が除菌に成功いたします。(それでも除菌不成功に終わった患者さまは3次除菌となりますが、保険適応になりません。)

除菌

ピロリ菌がいなくなったかどうかはどうやってわかるの?

ピロリ菌の除菌判定を行います。検査は尿素呼気試験という吐いた息を調べる検査になります。おくすりを飲み終わった後から1か月以上あけてから調べます。
それは除菌直後ですと、除菌不成功に終わっていても、ピロリ菌の数自体は減っています。そのため検査上はピロリ菌陰性となってしまうのです。
このような偽陰性(本当は除菌できていないのに見かけ上、除菌できたと判定されてしまう)を無くすために、1か月以上あけていただきます。

尿素呼気試験法の原理